ETC割りを使い、
土日二日で俺は名古屋を堪能することにした。
それが俺の「名古屋ギター紀行」だ。あれやこれやと、
行くだけの理由はあった。ここでその説明をするのなら、
ずいぶん長い説明となるだろう。たぶん、
前回、前々回、前々々回ぶんを読むぐらいの時間は必要だ。

ともかく、
費用と時間を換算すれば、
一軒でも多くのギターショップをまわらないことには、
元が取れぬ旅だった。
しかしながら初日土曜日の結果は……一軒のみで。
而して、
翌日曜日の結果は、これまで二軒。そして実質三軒目が、
本日紹介する“この店”である。

名鉄電車、神宮前駅から徒歩3分。
熱田神社すぐそば。
その名もグッドタイムズロール……。



いい意味で、
いたって“普通の”ギター屋だ。
目指すところは「町のギター屋」。
取り扱うギターもまた、はばひろい。
初心者向けもある。もちろんヴィンテージもある。
正直、さびれた商店街で、
一昨年の9月、そのギター屋はひらかれた。
開店して一年ちょっと。
白と黒を基調とするツートンカラーのフロア。
Let’s the good time roll!(楽しくやろうぜ!)
……店名からも推察できよう、ロカビリー仕様の店内に、
ギターが並ぶ。
ふと目をやれば、
果たして、居心地のいいカウンター沿いの壁に、
見慣れぬギターが飾られている。
「町のギター屋」を目指す店には、あまり見かけぬギター。
いや……というよりも、はじめて見るギター。
果たして……

俺には言わねばならない台詞があった。

なぜなら、そのためにここに来たのだから……

この店で一番高いギターを持ってこい

価格 非売品

松岡「非売品です。じつは、学生のときに
作ったギターなんです。
名前もありません。名無しです(笑)。
こんなこともでできますよーって、
リペアのときにサンプルとかで見てもらったり
そんなかんじで、飾ってあるんですよ」

― へー。じゃ、もともとギター学校に行ってたの?
三本あるけど、それぞれのギター解説してよ。

松岡「は~(笑)。まあ、解説ってほどじゃないですが
……これは完全にロカビリー向けですね」






松岡「えーっと、これが……ジャズ(笑)。
まあイメージですが。
これは作るのに一年かかりました」




松岡「そしてこれが、ROCK。
歪んだかんじです」





― ほぉ。さすがじゃん!
ちゃんとしたギターじゃん!
でも、ここ普通のギター屋さんだよね。
自分でギターブランド立ち上げようとは思わなかったの?
だってギター学校に行ってたんでしょ?
ギター作ればいいじゃん!

松岡「はい(笑)。そうかもしれないですけど……。
もともとギター屋をやりたかったんですよ。
修理とか……。そういうことやりたかったんです。
実際、入学した時は
“ギター作るなんて駄目だろうなー、やめちゃうかもなー”って
思ってたんですよね」

― なんじゃそりゃ(笑)
でも実際、作ってみてどうだった?

松岡「人に弾いてもらって、“なかなかイイネ”って褒められたのは、
感動でしたね。
ボク、学校に入る前、サラリーマンを6年ぐらいやっていたんです。
結婚もしてまして、
ある日、“よし! ギター屋やるぞ!”って思いたって、
学校に行ったんですよ」

― えー! なにその無謀っぷり!
思い立ったからって、
よく行動したね(笑)。
奥さんとかご両親とか……怒んなかったの?

松岡「うーん……どうなんでしょう?
でも
“いつか、なんかしでかすだろうとは思ってた”って
言われましたね(笑)。
学校を卒業して、すぐにお店を出しました。
ただ、そこは“相当の覚悟”がありましたけどね」

― なるほど。その“覚悟”は、流石だね。
お店の話になるけど、
正直、ずいぶんと寂れた商店街に店を出したよね。

松岡「ええ。ただ、場所柄としては凄くわかりやすいところなんですよ。
熱田神社が目の前ですし。
交通の便がよくて、とてもいい場所なんです。
シャッター通りなんで(笑)
手頃な値段でしたし、うるさくても文句言われなさそうで。
ここ、もともとたこ焼き屋さんだったんですよ。



全部、じぶんで内装を直しました。コツコツとやりましたね。
大変だったー(笑)。あらためて考えたら、
業者さんに頼んでもよかったかなーって(笑)。
完全な手作りのお店です」


― よくやったね。すごくいい店だと思うよ。
俺は好きだな。繁盛するといいね。
お店のコンセプトとかあるの?

松岡「うちのお店、インターネット販売とかやってないんですよ。
最近は、ネットとか発展しすぎちゃって、
メールだけで買えたりするじゃないですか。
ホントは、売り上げとか考えたら、
ネットやったほうがいいんだろうけど……。
でも、会って話さないとわからないじゃないですか」

― ふむふむ。なるほど。

松岡「さっきの話に戻りますけど、
ボクは“リペアマン”になりたいんです。
ギター職人というよりも“リペアマン”。
誰も弾かないギターをちゃんと調整して、
それにあったリペアをしたい。
それにはやっぱり、人と会って話さないと、
本当にいいリペアはできないと思うんですよ……。
ボクは、ギターをちゃんと調整して売りたいんです」

……いやはや。
“相当な覚悟”と、さらりと言い放つ男の胆力。
リペアマンとして生きることを決心した、男のプロ意識。
一見、飄々とした風体からは、
うかがえなかった信念に俺は打たれていた。
シャッター通りとなった商店街に、
そのギター屋は存在する。
ならば……、
ネットでは繋がらぬリアルを、俺は味わいたい。
町へ……出よう。店の前で、俺は……弾く。
果たして……

俺には言わねばならない台詞があった。
なぜなら、そのためにここに来たのだから……。




★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【町に出よ。そして
スモーク・オン・ザ・ウォーター似の曲】

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
男の作ったギターを。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」似の曲。
そのすべての責は俺にある。

おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「俺」

ちょっぴり恥ずかしささえ漂う、タフな俺のプレイを味わってほしい。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

― 流石だよ。いいギターじゃないか。
そしてまた、いい商店街の皆さんじゃないか。
いい……町だよ。ここは。

松岡「ありがとうございます。
中高生なんかもよく来てくれるんですよ。
町のギター屋として、
若い子たちとも一緒に育っていけたら……と
思っているんですよ」

― なるほど。それじゃ、もうひとつ質問だ。
あんたのガツーンときたバンドがあったら教えてくれ。

松岡「ブライアン・セッツァーですかね。
でも、ホントにガツンときたって言うと、
BIG BAD VOODOO DADDYってバンドのギターで
スコッティ・モリスって人がいるんですが、
その人かもしれません」

― おぉ! それって村上佳菜子がショートで使ってた!



松岡「あぁ、そうですね(苦笑)。確かに。
ボクはそのスコッティ・モリスの生き様に影響を受けて、
ギターのお店をやろうと決意したんです。
彼は元々、パンクバンドをやっていて、
その後、スタジオミュージシャンになるんです。
だけど、好きなバンドをやらなきゃ駄目だって思い立って、
バンド活動し出すんですよ。
ボクはそんな彼に教わったんです。
“自分のやりたいことを、ほんとうにやらなきゃ駄目だ”って」

― いい話だなー!
すごくいい話だ!
ところで……そういうお前も、バンドとかやってたの?

松岡「はあ。まあバンド三昧でしたね。
サラリーマンのときもバンドやってました。
ウッドベースとかサックスとかボーカルとか」

※ちなみに、あとで判明した松岡がやっていたというバンド。
Linda & the Bigking jive Daddies



― わお! かっこいいじゃん! なによ!
ウッドベース! そんなの弾けるんだ!

松岡「はい(笑)。ちなみに、今ありますよ」

― なぬー!

果たして、目の前にはウッドベース奏者。
そして、そこにはウッドベースもあるという。
ならば……
言うしかないじゃないか。
なぜなら……俺はそのために来たのだから。

ヴィ★ 「オッケー、言いたいコトは済んだかい?
だったらいますぐ……俺とセッションだ!」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

【ウッドベースで
スモーク・オン・ザ・ウォーター似の曲】

俺は弾く。この店で一番高いギターを弾く。
松岡とともに。
曲はもちろん決まっている……。
「スモーク・オン・ザ・ウォーター」似の曲。
そのすべての責は俺にある。

おなじみの追記。
「平成のリッチー・ブラックモア」=「俺」

ネオ・スウィング&ジャイブなノリの俺たちを、堪能してほしい。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

― 流石だぜ。そして楽しませてもらったぜ。

松岡「いえこちらこそ。楽しかったですよ」


果たして、
ギターが繋ぐ東海地方の面々。
俺の名古屋旅も、まだまだまだ続く。

しかし……
次回は新たな展開が!
想像を絶する、美味なる展開?
これぞ東海B級グルメ旅?

震えて……待て。

最後に追記。
こんな俺に「いちばん高いギターを弾かせてやってもいいぜ」って、
奇特なギター店がありましたら、
ご一報ください。
俺はいつでも、あんたの前に立ちふさがるつもりだ。
アドレスは「流石日本一@」。
sasugajapan1@ gmail.com

さらに
最後にもう一言。
「いちばん高いギターを弾かせろ」エイ出版
も、よろしくお願いします。売ってます。

俺が抱いたギターの現在までの総額 151,978,439 円也

お店の場所
取材協力:グッドタイムロール
〒456-0031
名古屋市熱田区神宮3丁目3-12
052-253-6129
URL:http://goodtimesroll.blog88.fc2.com/
MAIL:goodtimesroll@energy.ocn.ne.jp